がんと仕事 小さな会社でも厚い支援

2016年7月14日の読売新聞に掲載されました。

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広島市西区の建設会社「ナカケン」は、主に下水道などの土木工事を手がける。社員は15人。うち2人はがん経験者で、定期的に検査を受けながら働く。

「社員は家族と同じ。意欲も能力もある人が、がんになったからと辞めてしまうのは会社の存続にかかわる」。社長の中川成器さん(71)は、病気でも働き続けられる職場作りを目指す。

年1回の職場健診は家族も無料で、女性は乳がん、子宮がんの検診を追加して受けられる。社員は全て中途採用で35歳以上と年齢層が高いため、会社が全員分の保険料を負担して民間の医療保険やがん保険に加入している。保険金の受取人は社員本人だ。

経理を担当するA子さん(52)は3年半前、左胸に乳がんが見つかった。手術や抗がん剤治療が必要になると聞き、「仕事を辞めなければならないかもしれない」と絶望的になった。中川さんが13年前に会社を設立した時からの仲間で、仕事にやりがいを感じていた。

相談を受けた中川さんは、「心配しないで治療を」と業務に穴が開かないようアルバイトを雇い、保険金受給の手続きも進めた。

A子さんは手術前日まで働き、アルバイトに仕事を引き継いだ上で、手術を受けた。休んだのは1週間で、退院後すぐに職場復帰した。その後の抗がん剤では吐き気に悩まされ、髪の毛も抜けた。体調不良で出社できない時期もあったが、社有携帯電話で連絡を取り合い、アルバイトに指示を出した。

中川さんと相談し、有給休暇や時短勤務などを柔軟に利用した。「休職中もアルバイトとの連携で業務が上がっている」とボーナスも支給された。保険の一時金も出たため、経済面では困らなかった。A子さんは「会社の制度、社長の支援で本当に助かった」と話す。

高齢で働く人が増え、がんになることは珍しくない。しかし治療をしながら働き続けるという意識が働く側と会社双方で完全に浸透しているとはまだいえない。

国立がん研究センター・がんサバイバーシップ支援部長の高橋都さんらの調査では、がんと診断された時に就労していた患者950人中、診断後に仕事を辞めた人が199人(21%)に上り、うち4割は治療開始前に退職を決めていた。

高橋さんは「治療と仕事は両立できる。仕事を辞めると考える前に職場の支援制度を確認し、できる業務や配慮してほしい点などを職場と相談してほしい」と話す。

株式会社ナカケン

「私たちの新たな挑戦が始まります。」 今日の社会だから信頼を大切にしたい。 ナカケンは『誠実と 幸福を 情熱で』を基本理念に社会に貢献します。

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